Image via techpowerup
過去、PCユーザーにとって(本当にいろいろな意味で)馴染み深かったVIAは「今は何やってるの?」という感じですが、2020年になって新しいCPUの画像がリークされています!VIAのCPUというとP6バス互換のC3や、P4バス互換そしてMini-ITXプラットフォーム普及の立役者となったC7やVIA NanoといったCPUをリリースしていましたが、それ以降は鳴りを潜めているイメージでした。
そのようなVIA CPUの新型はC7以来の単体CPU。LGAパッケージです。
VIA's CenTaur division sprung an unexpected surprise in the CPU industry with its new CHA x86-64 microarchitecture and an on-die NCORE AI co-processor.
スペック
techpowerupの記事によると、TSMCの16 nm FinFETプロセスで製造された8コアCPUとのこと。
おそらくDDR4メモリのクワッドチャンネルで、PCIe 3.0を44レーン含む、と予想しています。
ヒートスプレッダが最近のCPUっぽいですね。
VIA CPUヒストリー
以下、簡素にまとまったWikipediaの会社沿革を引用いたします。CPUは自社が一から開発したわけではなく、サイリックスとセントールを買収してCPU市場に参入した経緯があります。
1992年9月に、陳文琦と王雪紅(父親は王永慶 台湾プラスチックグループ創業者)によって設立。
1999年、ナショナル セミコンダクターから子会社のサイリックスを買収、更にIDTから傘下のセントールテクノロジーを買収し、マイクロプロセッサ市場に参入した
2000年、グラフィックスチップメーカーのS3がVIAにグラフィックス部門を売却。更にICEnsembleを買収し、サウンド関連にも参入
2007年、チップセット部門をプロセッサ部門と併合
2008年1月、サードパーティー向けチップセット開発から撤退を表明。撤退後のチップセット開発は自社プロセッサ専門となる
2011年7月、グラフィックス部門のS3 Graphicsをグループ企業のHTCへ売却
C3(Cyrix III)シリーズ
所謂、P6バス互換のCPUです。IntelのPentium III用チップセットと互換があり、ソケット370でリリースされたものです。低価格・低発熱・低消費電力を売りとしていましたが、本家Intel CPUにはまったく歯が立たない程度の性能でした。
C7シリーズ
C7はC3の後継CPUですが、C3のように単体CPU販売は(ほぼ)されていません。基本的には「NanoBGA2パッケージ」でMini-ITXやNano-ITXサイズのマザーボードに直付けされた形で販売されていました。
単体CPU販売はほぼ無かったのですが、例外としてVIAのMini-ITXマザーボードに同梱され、セット販売されたものがあります。
セット販売が予定されているCPU「VIA C7-M1.8GHz」や「VIA C7-M1.5GHz」が動作するのはもちろん、インテルからすでに発売されているモバイル向けCPU Pentium M/Celeron Mシリーズも動作する。なお「VIA C7-M」を他社から発売されているPen M系マザーに搭載しても動作することはないとのこと
このように「なぜかIntel互換バスで動くCPU」でした。
VIAはC7バスは物理的にはPentium MのSocket479パッケージをベースとしているが、法的侵害を避けるためにIntelのAGTL+ Quad Pump式バスの代わりに独自の信号形式のVIA V4バスを使用している、とVIAは発表している。評論家たちは同じマザーボードにPentiumMとC7両方を挿すことができることに気づいた。これは報道によればVIAのFlexi-Bus technologyによるもので、CPUを自動判別するものだとしている。
VIA Nanoシリーズ
C7の後継で、大まかに言うと、今のところ最後のCPUがVIA Nanoです。これもNanoBGA2というマザーボード直付けのパッケージでしか売り出されませんでした。
また、VIA NanoはVIAにとって初めてマルチコア化したCPUでした。
兆芯
その後、CPUの話題でVIAの話がでてきたのは、兆芯でした。
以前に「VIAのCPUが気付かないうちに進化を遂げていた模様」という記事を書いたのだが、あれから1年、どうやらVIA Technologiesは開発提携している中国・上海の半導体企業「兆芯」に、Centaur Technologyの全てを託したようだ。
画像のVIA CPUは兆芯絡み?
techpowerupの記事では兆芯の名前は書かれていないので、兆芯絡みであるかどうかはわかりません。
同記事のコメントでも突っ込まれているように「どこをターゲットにしたCPUなのだろう?」という疑問があります。今のIntelとAMDのCPUは、ある意味バケモノなので対抗するのは無理だろうな、と。
グローバル向けではなくローカル、昔から言う新興国向け?とも思いましたが、チャイナ・メインランドをターゲットにすれば、もしかしたら一定の勝算があるのかもしれませんね。
VIA チップセットの思い出
一時期はIntelやAMD CPU向けサードパーティチップセットメーカーの一番手だった時期もあり、筆者的にはチップセットのイメージが強いです。
しかし、IntelとのP4バス特許訴訟で割を食ってしまい規模を縮小、2008年には撤退してしまいました。
そしていよいよ2001年には、Pentium 4向けチップセットが登場する。当時、インテルはPentium II/III向けチップセットのマーケットをVIAに大分持っていかれたこともあり、「VIAが取得したバスライセンスは、Pentium 4向けのP4バスでは無効である」と宣言。ここからインテルとVIAの泥沼の特許訴訟合戦が始まる。
最終的に5ヵ国で合計11の係争が行なわれる羽目になった一連の訴訟は、2003年4月の和解で終わるが、これが解決するまでの間、OEMベンダーはVIAの製品を使いにくかった。というのも、VIAのチップセットを使った製品を出荷すると、自動的にインテルから訴訟を起こされる可能性が高いからで、結果としてVIAのPentium 4向け製品を使った製品はほとんど見かけなかった。
Pentium 4が販売したての頃に、ソケット423やソケット478の謎チップセットマザーというアレなマザーボードが秋葉原に並んでいました。
画像は筆者所有のIWill DVD266u-RNのサウスブリッジ「VT8233」です。
TualatinコアのPentium III用ノースブリッジ「Apollo Pro 266T」はデュアルソケット(デュアルコアではありません)にも対応していましたので、このような構成ができていました。
エルミタージュ秋葉原にDVD266u-RNのレビューがありますので、チェックしてみて下さい。
今回取り上げるのは、今は無きIwillブランドのデュアルSocket 370マザーボード「DVD266u-RN」だ。約10年もの間、押入れにしまいこまれていた骨董品は、果たしてまともに動作するのだろうか?
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