H.P.から新たにリリースされた「Z2 Mini G1a Workstation」は、性能の高さで注目を集めているAMD Ryzen AI Max+（AMD Ryzen AI Max+ PRO 395）を搭載しつつ、所謂ミニPCレベルの筐体にワークステーションレベルのスペックを詰め込んだプロフェッショナル向けワークステーションです。
HP Z2 Mini G1a Workstation
HPが新たにリリースする小型ワークステーション「Z2 Mini G1a Workstation」は、AMD Ryzen AI Max+ PRO 395を搭載。メモリは最大128GB搭載可能、専用サーバーラックも準備されている注目モデルです。
AMD Ryzen AI Max+ PRO 395
- Zen 5アーキテクチャ（Strix Halo）
- 16C32T
- L3キャッシュ：64MB
- Base/Boost Clock：3GHz/5.1GHz
- iGPU：Radeon 8060S（RDNA 3.5 40CU相当, up to 2.9 GHz）
- NPU：XDNA 2（50 TOPS）
- TDP：55W
- cTDP：45-120W
ポイント
Good
-
コンパクトながら非常に強力なスペック：高コア数 CPU、高速メモリ、大容量 VRAM 相当のメモリ割当てが可能。
-
多用途性：AI、クリエイティブ、CAD、BIM 等のプロフェッショナル用途に耐ええるスペック。
-
モード切替可能なパフォーマンス設定：High Performance, Performance, Quiet, Rack モード等があり、用途と静音性のバランスを調整できる。
-
本レビューでのテスト機は 約 $5,021 の構成（Ryzen AI Max+ PRO 395 / 128 GB / 2 TB）
Not
-
負荷時のファン騒音がかなり大きい。特に High-Performance モードで CPU や GPU にフルで負荷がかかるときに顕著。
-
メモリが基板にハンダ付けされており、後からアップグレード不能。購入時に構成をよく考える必要あり。
-
入出力ポートの構成が少し癖がある。HDMI なし、Mini DisplayPort を使う必要があり。
- 最低構成は $1,299 スタートだが、それではメモリ／ストレージ等が控えめなため、実用的な性能を出すにはコストがかかる。
ベンチマークテスト
Speedometer 3
BrowserBench.orgのSpeedometer 3テストを用いて、ウェブアプリケーションのパフォーマンスを包括的に評価。このテストでは、React、Angular、Ember.js、さらにはシンプルなJavaScriptなど、主要なウェブ開発フレームワークで構築された多様なサンプルWebアプリケーションを自動的に読み込み実行します。すべてのテストはChromeの最新バージョンで実施されました。
Speedometer 3においてはネイティブデスクトップPC向けZen5コアRyzenと比べて遜色ないスコアを示しています。PCの使い方として一般的なwebブラウザ利用においては、本稿時点においてハイエンドCPU/APUと表現しても間違いないでしょう。
Geekbench 6
Geekbenchは、暗号化、画像処理、物理シミュレーション、機械学習など、多岐にわたるタスクにおけるリアルなワークロードをシミュレートするクロスプラットフォームのベンチマークです。ここでは、最新のGeekbench 6を使用して、各システムの総合的なシステム性能を把握するためにテストを実施しました。
Hothardwareのよると「このレビューは少し前に行う予定でしたが、Geekbench 6の結果を受け、このHP Z2 Mini G1a Workstationが同メーカーのZbook Ultra G1aやASUS ROG Flow z13よりもいくつかのベンチマークでパフォーマンスが劣る理由を解明しようと試みるようになりました。Windowsの新規インストール、Linuxでのテスト、そして様々なシステム設定を試しましたが、納得のいく説明には至りませんでした」とし、原因は「メモリレイテンシの高さ」という想定を記しています。また、「Linuxの方がこのベンチマークで35%以上優れたパフォーマンスを発揮していることは特筆に値し、BlenderやBrowserbenchなどの他のベンチマークでもLinuxのパフォーマンスが向上しています」とも述べられていますが、本グラフはWindows環境だとのことです。
Cinebench 2024 3D Rendering
Cinema 4Dレンダリングエンジンを基盤としており、GPUを一切使用しない純粋なCPUベースのテストです。
CinebenchではネイティブデスクトップPC向けZen5コアRyzenとは差が見られますが、デスクトップPC向けCPUはそもそも動作クロック周波数が大幅に高いという利点があります。HP Z2 Mini G1a Workstation搭載のRyzen AI PRO Max+ 395は、全16コアで約4.3GHzに落ち着く点が差として出てくるのでしょう。ただし消費電力の低さを考えると、このスコアは全く悪いものではありません。
消費電力
消費電力という面では、本グラフに掲載されているネイティブデスクトップPC向けCPUシステム群より圧倒的に低い結果となっています。dGPUを搭載せずにiGPUのみという点も有利な点でしょうか。
ゲームベンチ
Middle-earth: Shadow Of War (Direct X 11) - フルHD
Shadow of the Tomb Raider (Direct X 12) - フルHD
HP Z2 Mini G1a Workstationはゲーミングマシンとして訴求されるPCではありませんが、フルHDで十分な性能を叩き出すiGPU（Radeon 8060S）を搭載しています。iGPUという性格上CPUのグレードは揃っていませんが、過去モデルですがモデルナンバー的にはランクが高いRadeon RX 6800Sより性能があがっていること、また、 ノートPC向けのNVIDIA dGPUと十分に戦えていることなど、かなり良い素性をもったiGPUであるとも言えます。
Hothardwareの同記事では、1440p解像度でも十分な性能を発揮するデータを示していますが、高リフレッシュレートでプレイしたい場合や4K利用時はアップスケーリングを適切に活用する必要があるでしょう。
まとめ
HP Z2 Mini G1a Workstationは「非常に小さいのにパワーがあるプロフェッショナル向けワークステーション」としても、クライアント向けながらハイエンドモデルとしての選択肢として強く薦められるモデルと言えます。AI・クリエイティブ用途においては特に、メモリ容量とiGPUの性能がアドバンテージになります。
一方で、静音性や価格、ポート構成などに妥協点があり、それらを許容できるかどうかが購入判断の鍵です。
また、本記事にてテストされた海外仕様がそのまま日本国内で購入できるとは限りません。若干のスペック違いが発生する可能性もありますので、詳しくはH.P.の製品詳細ページをご確認ください。
おすすめ記事
