
コア数はあればあるほど良いのかもしれませんが、限度がありますし用途によってはオーバオースペックだったりパワー不足だったり。2025年後半において大まかに、4コア/8スレッド以下はローエンド、8コア/16スレッドのRyzen 7シリーズはクリエイティブ用途やバックグラウンド処理を考慮する使い方をする場合に選ぶ、というのがベターでしょうか。
12コア/24スレッド、16コア/32スレッドのRyzen 9シリーズの場合はやはりスモールワークステーション向け。となると、中間?の6コア/12スレッドのRyzen 5シリーズの場合、8コア/16スレッドのRyzen 7よりクロック数が少し高めの場合もあり、所謂、万能型というのが考え方のひとつでしょう。
ではアーキテクチャが変わるとどのくらい変化があるのか、という疑問に答えてくれそうなレビュー記事をご紹介いたします。
要点
テーマ
- 6コア/12スレッドのメインストリームCPUとして第3世代RyzenのZen 2コアRyzen 5 3600と第4世代RyzenのZen 4コアRyzen 5 7600の比較、そして8コア/16スレッドのRyzen 7 7800X3Dも同時比較することで、ゲーミング用途において"コア/スレッド数"と"アーキテクチャ"の違いがどれほど重要かを検証。
結論
- 単純にコア数だけで判断するのは誤り。6コアでも性能が高ければ、8コア以上の旧世代 CPU よりも優れるケースがあり。
- ゲーミングでは「シングルコア性能」「キャッシュ」「アーキテクチャそのものの性能(差)」などがより重要な要素となる。
(昔から言われていることですが)やはり「ゲームプレイ時のフレームレート」を左右するのはシングルコア性能差、クロックが高いことが重要です。末尾X3Dモデルがゲーミングモデルに人気な理由に代表されるように、CPUのキャッシュ容量が昨今重要視されているという感じです。
テスト環境
- CPU1:AMD Ryzen 7 7800X3D
- CPU2:AMD Ryzen 5 7600
- CPU3:AMD Ryzen 5 3600
- グラボ1:AMD Radeon RX 7700 XT
- グラボ2:AMD Radeon RX 7900 XT
- グラボ3:NVIDIA GeForce RTX 4090
AMD dGPUの「Radeon RX 7700 XT」と「Radeon RX 7900 XT」を搭載したシステムの結果も掲載されています。これからAMDのグラボを買ってみようと考えている方にとってはRadeon RX 7700 XTのスコアが特に参考になると思われます。
Hogwarts Legacy
まずはゲームエンジンにUnreal Engine 4を採用しているHogwarts Legacy。
Radeon RX 7700 XT(1080p)

Radeon RX 7700 XT(1440p)

Radeon 7700 XT 1080pのテスト環境においてはRyzen 7 7800X3DとRyzen 5 7600の差はあまりありません。Ryzen 5 3600の場合は、他モデルに比べて明らかにプアな印象になっています。より負荷の高い1440pの場合では、Ryzen 7 7800X3DとRyzen 5 7600の差がほぼありません。おそらく、Radeon RX 7700 XTにとってこの辺りで性能の限界がきており、Ryzen 7 7800X3Dの性能を活かせない(GPUがボトルネックになっている)ものと考えられます。
Radeon RX 7900 XT(1080p)

Radeon RX 7900 XT(1440p)

Radeon RX 7900 XT搭載時においてはCPUパワー順通りになっています。
NVIDIA GeForce RTX 4090(1080p)

NVIDIA GeForce RTX 4090(1440P)

NVIDIA GeForce RTX 4090のグラフも参考までにどうぞ。
Counter-Strike 2
伝統のタクティカルFPS「Counter-Strike」シリーズの最新作は、現状軽い部類のゲームとなります。
Radeon RX 7700 XT(1080p)

Radeon RX 7700 XT(1440p)

Counter-Strike 2の場合、CPUのアーキテクチャ違いによってスコアが違ってきていますが、そもそも軽いゲームのため、筆者が新規で選ぶならばCPUはRyzen 5 7600に抑え、浮いたコストをデバイスに突っ込みたいと思ってしまいます。Ryzen 5 3600の場合は完全にCPUがボトルネックになっています。
Radeon RX 7900 XT(1080p)

Radeon RX 7900 XT(1440p)

NVIDIA GeForce RTX 4090(1080p)

NVIDIA GeForce RTX 4090(1440p)

より性能の高いdGPUにおいては、ピックアップされたCPU全てがボトルネックになっています。
まとめ
ベンチマーク結果から見えた違い
- Hogwarts Legacyにおいて、1080pでRyzen 5 7600 はRyzen 5 3600より約 21%高速。グラフィック設定で中〜低の場合では差がさらに大きくなる。
- 1440p では差が縮まるが、Ryzen 5 7600は依然Ryzen 5 3600を上回る。
- 4K 解像度ではGPU側の制限が強くなるものの、1% ロー(最悪時フレームレート)での差を見ると、Ryzen 5 7600がRyzen 5 3600を上回る傾向。
- Starfieldなどでは、Ryzen 5 3600が約60fpsに制限される場面があり、Ryzen 5 7600がそこからさらに性能を引き出す傾向。
So there you have it, core count tells you very little about a CPU's gaming performance, and while we're sure this data won't come as a surprise to many of you, this does seem like a topic that we regularly need to revisit.
It's quite remarkable just how much faster the 7600 is than the 3600, with many examples found of over double the performance. Especially given that on paper, they both pack 6-cores/12-threads in a single core complex die and a 32MB L3 cache.
ゲーミング性能という意味でCPUのコア数はあまり関係がありません。この結論に驚く方は少ないでしょうが、これは定期的に再検証すべきテーマのようです。
しかしながら、アーキテクチャ比較となるRyzen 5 7600とRyzen 5 3600の差は明確。性能が2倍以上になる事例も数多く確認されています。特に両者とも、単一のコアコンプレックスダイに6コア/12スレッドを搭載し、32MBのL3キャッシュを備えているという仕様上では、この差は顕著です。
コア数 vs アーキテクチャの差
- 同じ6コアでも世代が新しく、クロックやキャッシュが強化されたCPU(本稿でのRyzen 5 7600)は、古い8コア/10コア/16コアCPU を凌駕することがある。
- 古い世代の多コアCPU(たとえば Ryzen 9シリーズなど)は、ゲーム用途では必ずしも有利にならない。
マルチタスク/バックグラウンド処理能力について
ゲーム中に配信や録画、チャットなどの背景処理を同時に行う場合、コア数が多いCPUが有利になる可能性はあるが、実際のテストではその差は限定的。6コアでも十分耐えうる場面が多い。
The claim that those who multitask while gaming will benefit more from a higher core count CPU is largely unfounded and we've not seen anyone making this claim provide any real-world evidence, so a year ago we did it for them. We have no dog in this fight; if 8-core CPUs are much better than 6-core CPUs of the same architecture for those who multitask while gaming, then great, that's good to know, and we can adjust our recommendations accordingly.
But when actually testing this with a 4K YouTube video playing plus Discord screen sharing, we found that it more often than not eliminates any performance advantage the 8-core processor might have by creating a system bottleneck. Overall, the performance hit on modern hardware was very small anyway, and if you're doing something much more CPU-intensive in the background, it cripples gaming performance to the point where it doesn't really matter if you have 6 or 16-cores, the experience is going to suffer either way.
ゲーム中にマルチタスクを行うユーザーは、よりコア数の多いCPUで多くの恩恵を受けるという主張はほとんど根拠がなく、この主張をする者が実証データを提供した例はこれまで見当たらない。そこで我々は1年前に代わりに検証を行った。我々はこの論争に利害関係はない。もしゲーム中にマルチタスクを行うユーザーにとって、同一アーキテクチャの6コアCPUより8コアCPUが大幅に優れているなら、それは素晴らしい知見であり、推奨構成を調整できる。
しかし実際に4K YouTube動画再生+Discord画面共有でテストしたところ、8コアプロセッサが持つかもしれない性能上の優位性は、システムボトルネックを生むことでむしろ打ち消されるケースがほとんどでした。全体的に見て、現代のハードウェアにおけるパフォーマンス低下はごくわずかでした。さらに、バックグラウンドでCPU負荷の高い処理を実行している場合、ゲーム性能は著しく低下し、6コアか16コアかの違いは実質的に意味をなさず、いずれにせよゲームプレイ時の体験は損なわれることになります。
価格対性能の観点
6コアCPU はコストパフォーマンスが良く、ゲーミング中心の用途なら十分な選択肢となり得る。8コア以上のアッパーモデルを買うよりも、6コアCPUに留め、グラボやメモリに追加予算を振る方が効果的なケースも。
注意点
- 4コア CPU は現代の多くのゲームで力不足になる可能性がある。
- 将来のゲームがより多コアに最適化される可能性があるため、将来性を考慮するならコア数を余裕をもたせる判断も一理ある。
- 解像度が高くなるほど、GPU 側の性能の影響が大きくなり、CPU 性能の差が目立ちにくくなる。
これからの未来はわかりませんが、未だゲームプレイにおいてはシングルコアの性能が重要視されており、OSでコントロールされるタスクの処理はマルチコアへの最適化が進んでいないことがわかります。
本稿で紹介したTechSpotのベンチ結果からは、ミドルレンジとカテゴリされる6コア/12スレッドのRyzen 5シリーズはコストとパフォーマンスのバランスがよいのがわかりました。
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