
このTechSpotの記事(2020年7月公開)は、MSIのSocket AM4 Tomahawkシリーズ(B350 Tomahawk、B450 Tomahawk、MAG B550 Tomahawk)を中心に、VRMの熱性能を主に比較したレビューです。多コア・高クロックのAMD Socket AM4 Ryzenに負荷をかけ、これらマザーボードがどのくらい耐えていけるのか世代別にVRM冷却性能がチェックできる有用な記事なので改めてご紹介いたします。
概要
VRM構成と価格
- B350 Tomahawk: 4+2フェーズVRM(Niko Semiconductor. MOSFETs)、$100
- B450 Tomahawk: 4+2フェーズVRM(onsemi FETs)、$110
- MAG B550 Tomahawk: 10+2+1フェーズVRM(ISL99360 60A)、$180
- B550M Pro-VDH WiFi: B450 Tomahawkと同等の4+2フェーズVRM、$125
- B550-A Pro: 10+2+1フェーズVRM(IR35201コントローラー、onsemi FETs)、$140
※この価格はMSRP
主な比較対象マザーボード
大人気と言って過言ではないMSI TomahawkシリーズのSocket AM4各世代B350、B450、B550メインストリームマザーボードのVRM冷却性能をチェックしていきます。
注目はMAG B550 Tomahawkです。MSRP $180という価格設定ながら、VRM周りの造りは「完全に別次元」と述べられています。5フェーズのvcoreは、各フェーズがISL99360 60Aパワーステージ2基で駆動され、2基のインダクタに接続されています。つまり合計10基の60Aパワーステージを搭載しており、同メーカーのX570チップセット搭載となる上位モデルMAG X570 Tomahawkと比べてわずか2基少ないだけ、となっています。
MSI B350 Tomahawk:約$100、4+2フェーズ



MSI B450 Tomahawk:約$110、4+2フェーズ



MSI MAG B550 Tomahawk:約$180、10+2+1フェーズ



追加1:B550M Pro-VDH WiFi:約$125、4+2フェーズ



追加2:B550-A Pro:$140、10+2+1フェーズ


テストCPU
VRM温度結果の要点(Blender長時間ストレステスト)
グラフには追加で、以前TechSpotでレビュー済みのX570チップセット搭載マザー、MSI MAG X570 TomahawkとMSI MPG X570 Gaming Pro Carbonの数値も掲載しています。
Ryzen 7 3700X
- B350 Tomahawk:61℃前後
- B450 Tomahawk:49℃前後
- B550 Tomahawk:38℃前後

Ryzen 9 3900X
- B350 Tomahawk:100℃超
- B450 Tomahawk:71℃前後
- B550 Tomahawk:45℃前後

Ryzen 9 3950Xストック
- B350 Tomahawk:100℃超
- B450 Tomahawk:79℃前後
- B550 Tomahawk:49℃前後

Ryzen 9 3950X 200W OC
- B350 Tomahawk:110℃超。11分でスロットリング(クロック低下)
- B450 Tomahawk:96℃で何とか耐えるが電圧ドロップ
- B550 Tomahawk:62℃で圧倒的に優秀

評価
「高コア数、高消費電力CPUではB550 Tomahawkが明確に有利。B350 Tomahawkはロー〜ミドルローまで、B450 Tomahawkはミドルハイまで対応可」といったところでしょうか。
B550M Pro-VDH Wi-Fiは、B450 Tomahawkとほぼ同等のVRM周りながらヒートシンクの造りでほんの少し差が出たイメージです。これらCPUラインナップにおいて相対的に負荷が高くなるにつれて意外と、と言ったら失礼ですがB550 A-Proの仕上がりの良さが目立ちます。
MPG X570 Gaming Pro Carbonの数字がB350 Tomahawkと同じレベルですが、TechSpotのレビューでは結果が悪かったようで、以下のように述べられています。
Out of interest we included the MSI X570 Gaming Pro Carbon which we've called one the worst X570 motherboards in terms of VRM quality. 56C is a horrible result for a $300 X570 board, that's only 5C better than the old B350 Tomahawk.
参考までに、VRMの品質において最悪のX570マザーボードの一つと評したMSI X570 Gaming Pro Carbonも比較対象に含めました。$300のX570マザーボードで56℃という結果は酷く、旧型B350 Tomahawkと比べてもわずか5℃の改善に過ぎません。
PCIe 4.0と機能面の違い
PC動作時に一番体感できるストレージ面でGen4接続SSDが使えるB550は魅力です。そういう意味では、B550M Pro-VDH WiFiはコスパが高く、さらに無線環境が標準装備です。
2020年当時の結論・おすすめ(記事のまとめ)
- 予算最優先:ロー~ミドルレンジCPU+B450 Tomahawkがコスパ最強
- PCIe 4.0 / WiFi等無線環境デフォルト装備重視:B550M Pro-VDH WiFi($125)が本当のバリュー
- ハイエンドCPU及びOCで遊ぶ狙い:B550 Tomahawkが一番のおすすめ。次点でB550-A Pro。この場合はB350はもうおすすめできない(特に高負荷時)
2020年時点の視点ではB450 Tomahawkの人気がまだ根強く、B550シリーズ搭載のマザーボードは「ちょっと高いけど未来を買う」選択肢という位置づけでした。
しかし、本稿執筆時においてB550を選ばない理由はありません。ピックアップされているMSI B550マザーボードはVRMが大幅強化されており、PCIe 4.0対応というB550固有の機能が実装されることでB350/B450世代より明確に進化しているためです。
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