GIGABYTEとMSIは、Intel Core i9のクラッシュ問題に対して正式に対応している、という記事です。発端は、特定のゲーム起動時において行われるシェーダーキャッシュ生成に起因しているのでは?というもので、ベータBIOS公開やBIOS設定のガイドを展開しています。
2024年4月30日追記あり
Intel Core i9クラッシュ問題
マザーボード側の設定における電力、電圧設定がアグレッシブすぎたことに原因があるともされ、「ゲームクライアント起動時にクラッシュする」とゲーム開発者がPC系サイトのフォーラム投稿したことが発端となっています。雑な言い方をしてしまうならば、マザーボードのBIOS設定を下げた形で対応できることなのかもしれません。また、Intel XTUユーティリティを使ってOS(Windows)上での設定変更も行えます。
ただし、全てのユーザーが「適切なBIOS設定」ができるとは限りません。その為、GIGABYTEはそれら問題に対応するベータBIOSを公開、MSIは適切なBIOS設定を可能とするガイドを公開しています。
発端はゲーム開発者によるサポートページへの投稿で、一部ゲームタイトルの起動時にエラーが発生するというユーザーの問題に対処したもの。エラーコードによるとVRAM容量の不足を指摘するものながら、ユーザーは十分に大きなVRAM容量を備えたグラフィックスカードを用いていたようで、原因がわからなかったようだ。しかし調査の結果、CPU側に原因があると疑問視されている。
というのも昨今の高品質なグラフィックス品質を備えたゲームにおいては、起動時にCPUを用いてシェーダーキャッシュを生成するものが多く存在する。この時プロセッサにかかる負荷は極めて大きく、CPUの使用率はほとんど100%まで飽和する。このために初回起動時に発生するエラーはGPUではなく、CPU側で何か問題が発生しているのでは……と疑われるようになったようだ。
フォーラム上ではAlan Wake 2、Hogwarts Legacy、Horizon Zero Dawn、Immortals of Aveum、Metro Exodus Enhanced Edition、The Last of Us, Part 1等のゲームで上述のエラーが報告されており、問題の発生は広範に及んでいる模様。
この件について報じたTom's HardwareやTechPowerUpによると、一部マザーボードのデフォルト設定における消費電力・電圧設定がアグレッシブすぎたことに原因があるかもしれない。クロック倍率や電圧を手動で下げて調整することで大負荷時の安定性に改善がみられているようで、UEFIでの設定変更の他、Intel XTUユーティリティを使えばWindows上での設定変更も行える。
GIGABYTEの場合
GIGABYTEはベータBIOSに関するニュースリリースを公開。ただしこのベータBIOSは、Z790/B760マザーボード専用です。
このベータBIOSでは、「Advanced CPU Settings」メニュー内「Turbo Power Limits」オプションにある「Intel Baseline」と名付けられた新しいプロファイルを導入。GIGABYTEは、Intel Baselineプロファイルを有効にするとGIGABYTEの自動パフォーマンス向上機能である「PerfDrive機能」が無効になるとのこと。
繰り返しになりますが、これらベータBIOSを公開しているマザーボードは現状、Z790およびB760チップセット搭載マザーボードのみ。Intel 600シリーズのマザーボードに適用されるかどうかについては言及していませんが、最終的にはサポートされるのではないか、とTom's Hardwareの同記事では延べています。
そもそもな話ですが、クラッシュを解決するためにベータBIOSを必ずしもインストールする必要はあなくユーザー自身のBIOS設定によって解消される問題です(「ベータ版」のBIOSであるためバグが存在するかもしれません)。しかし、新しいIntel Baselineプロファイルを搭載したベータBIOSを適用すると、問題解決がより簡単になるでしょう。
MSIの場合
MSIは、GIGABYTEのようなクラッシュ対応BIOSを提供していません。その代わり、Intel第14世代Core i9ユーザーのためにシステムの不安定性を解決する方法についてのチュートリアルを提供しています。
電力制限プロファイル調整
これらCoolerオプションは全て異なるPL1電力制限を提供しており、「Boxed Cooler」を選ぶとIntelのデフォルトの電力仕様に対応します。MSIは、PL1定格253Wの「Boxed Cooler」に切り替えることを推奨しています。
Advanced CPU Configuration
上記電力制限プロファイルを調整した後にMSIは、OverclockingタブのAdvanced CPU Configurationの設定見直しを推奨しています。そこで「CPU Lite Load Control」をIntel Default設定にすることです。「Intel Default」では電圧動作をIntelの標準仕様に戻すことができます。
CPU Lite Load Controlは、システムのLoad Line Calibration(LLC)動作を操作します。LLCはオーバークロック時にいじる項目で馴染みがある方もいるかもしれませんが、CPUがより低い電圧で安定して動作できるように設定することも可能です。
「Intel Default」でも発熱が大きすぎる場合、MSIが提供する「Normal」に設定することも説明しています。これはIntelの標準仕様よりも低い電圧で動作させることができる設定です。
(追記ここから)
Intelの声明
Intelはこの問題に対して声明を発表しました。
Intelは、一部の第13世代(Raptor Lake)および第14世代(Raptor Lake Refresh)Coreユーザーが直面していると思われる安定性の問題に対して声明を発表。
(追記ここまで)