AMDはGPUのドライバアップデートに関するポリシーを変更しました。現行アーキテクチャの「RNDA」に対するサポート(新しいゲームへのFIXや性能最適化等)は通常通りの頻度で行い、それ以前のレガシーアーキテクチャに関してはサポートの頻度を下げるというものです。また本稿では、レガシーなRadeon RX 580の乗り換え先グラボガイドもしてみます。
AMDドライバアップデートポリシー
AMDは、現行GPUのRDNAシリーズとそれ以前のアーキテクチャのGPUシリーズを明確に分けたサポートポリシーをとる、としました。
直近のレガシーGPUを挙げるならば未だユーザーが多いであろうVegaやPolarisアーキテクチャGPUで、それらのドライバアップデートのスケジュールは現在、更新頻度が減少しています。
現行アーキテクチャのRDNAシリーズ、RDNA1のRadeon RX 5000シリーズ、RDNA2のRX 6000シリーズ、そして最新アーキテクチャとなるRDNA3のRX 7000シリーズに関しては、重要なソフトウェアのバグに対処し新しいゲームの発売に合わせてパフォーマンスを最適化するドライバとRadeon Softwareのリリースを維持していくとしています。
AnandTechへの声明の中でAMDは次のように述べています。
The AMD Polaris and Vega graphics architectures are mature, stable and performant and don't benefit as much from regular software tuning. Going forward, AMD is providing critical updates for Polaris- and Vega-based products via a separate driver package, including important security and functionality updates as available. The committed support is greater than for products AMD categorizes as legacy, and gamers can still enjoy their favorite games on Polaris and Vega-based products.
(AMD PolarisおよびVegaグラフィックス・アーキテクチャは成熟し安定しており、パフォーマンスも高いため、定期的なソフトウェア・チューニングによる恩恵はそれほど大きくありません。今後、AMDは、PolarisおよびVegaベースの製品向けに重要なセキュリティおよび機能のアップデートを含む重要なアップデートを別個のドライバ・パッケージを通じて提供します。AMDがレガシーと分類している製品よりもサポートが充実しており、ゲーマーはPolarisおよびVegaベースの製品でお気に入りのゲームを楽しむことができます。)
AMD Alters Driver Update Approach for Radeon Vega and Polaris GPUs
ざっくり言うならば、AMDは新しいGPU搭載モデルの進歩とサポートにリソースを割いていくというものです。Vegaシリーズがリリースされてから既に6年、RX 500シリーズが7年、RX 400シリーズの場合は8年を過ぎています(RDNA1のRadeon RX 5000シリーズでさえリリースされてから4年を超えています)。旧型は徐々にフェードアウトしていくという当たり前な話なのでしょう。
ではサポートが今後先細りしていくPolarisやVegaアーキテクチャのGPUを現在も利用している場合、次どのあたりのGPUに換装するのが良いのでしょうか?
AMD Radeon RX 580
Radeon RX 580は本稿執筆時点のおける現行世代アーキテクチャ(RDNA)GPUの前世代にあたるPolarisアーキテクチャを採用したGPUです。上記の通りドライバサポートでは更新頻度が下がっているモデルとなります。
本稿ではこの第2世代Polaris「Radeon RX 580」を軸にチェックしていきます。
Radon RX 580がリリースされたときに比較されたのはNVIDIA GeForce GTX 1060 6GBです。Radeon RX 580は相対するNVIDIA GPUに真っ向勝負できています。
Apex Legendsの場合、1080pでは劣りますが負荷の高い1440pで並ぼうというレベルです。
NVIDIAのグラボで良い結果を出しがちなUnreal Engine 4をゲームエンジンに採用しているFortniteでは1080p、1440P共にいい勝負です。
APIをVulkanにしたSiegeに関してはRadeon RX 580の勝ち。
この対決に関しては以前、本サイトで記事化していますのでご一読ください。
RX580とGTX1060 6GB(9Gbps版)の2017年頃2万台~3万台ミドルレンジGPUでPUBG、Fortnite、Apex Ledgends対決です。
消費電力
ペンチマークソフトや実ゲーム性能では良い勝負をしている様子が見えます。それは4gamerの比較記事でも伺えますが、問題は消費電力です。
GTX 1060 6GBといい勝負ができるRX 580。価格次第では大いにチャンスがある
詳しくは4gamerの記事をチェックしていただきたいのですが、GeForce GTX 1060に対して50W~70Wほど大きい数値がでています。
Radeon RX 480の150Wから185Wへと、Board Powerが35W引き上げられていることを考えると、電力効率が劇的に改善しているというわけではないようだ。結果として、競合であるGeForce GTX 1060 6GBには、実消費電力で大きな差をつけられてしまっている。
PC Watchの記事でも大まかに4gamerの比較と同じような結果となっています。
AMD Radeon R9 Nano
上記4gamerの記事で比較GPUとして取り上げられていたRadeon R9 Nanoは性能、消費電力共にNVIDIA GeForce GTX 980(第2世代Maxwell)と同等のレベルまで押し上げたFiji世代の逸品です。Polaris世代より一世代前のGPUです。
性能的にはGeForce GTX 1060 6GBより上を行く実力派なのですが、消費電力はPolaris世代のRadeon RX 580より大きい結果です。もう少し低い消費電力を示していた記憶があった(少なくともRadeon RX 580より低い結果)のですが改めて記事を見て驚きました。
別ベンチ
AMD Radeon RX 580とNVIDIA GeForce GTX 1060 6GBの比較を大まかに掴んだところで、GeForce GTX 1060 6GBと別GPUの対決ベンチをTechSpotの別記事でチェックしてみましょう。
AMDからはRadeon RX 5600 XTとRX 5700 XT、NVIDIAはGeForce GTX 1070とRTX 2060 SUPERがエントリーしています。
※ベンチ環境が違うのでグラフ自体は概要を掴む目的です
全体的に見た感想は(当たり前ですが)世代が違うな、というものです。GeForce GTX 1070は同世代ですがワンランク上のモデルです。もちろん性能も同じくワンランク上をいきます。
Radeon RX 580との比較と同じ、Apex Legends、Fortnite、Siege(Vulkan)のグラフをピックアップしてみます。
この記事を鵜呑みにしてAMD Radeon RX 580から同じAMDのGPUでリプレースするモデルを選ぶならば、Radeon RX 5600 XT辺り良いでしょうか?本稿執筆時点において現行モデルではないので在庫限り品や中古品を探す必要があるでしょう。中古品ならRadeon RX 5700 XTでもあまり値段が変わらないかもしれません。
ASRock AMD Radeon RX5600XT搭載 グラフィックボード GDDR6 6GB CHALLENGERシリーズ RX 5600 XT Challenger D 6G OC
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— PCワンズ (@PCONES) 2023年11月8日
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どちらも性能的に考えると破格のお値段では!?
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さらに別ベンチ
少し下のレンジの場合はどうでしょうか?
AMDからはRadeon RX 5500 XTとRX 570、RX 470、R9 370X、NVIDIAはGeForce GTX 1650 SUPERとGTX 1650、GTX 1050 Ti、GTX 950がエントリーしています。
注意していただきたいのが、上記掲出したベンチ結果と概算でも比較できないので含みを持ってグラフを見なければいけないことです。同記事内でチェックされているゲームもゲーム内設定も違うからです。
※ベンチ環境が違うのでグラフ自体は概要を掴む目的です
同じゲームということでSiegeのグラフを引用してみます。こちらの記事ではAPIがDXなのかVulkanなのか明記されていません。また、ゲーム内設定が「Ultra」と「Very High」で違います。
Radeon RX 570はRX580の下位モデルで、性能は大まかに対RX 580比で8割程度といったところでしょうか。とするならば、RX 580がこのグラフに入る場所はRadeon RX 5500XTやGeForce GTX 1650 SUPERとRX 570の間くらいを想定して問題ないでしょう。
消費電力
こちらの記事には一定の条件下で消費電力を計測しています。
RX 580はRX 570より大きい数値を出すと想定しながらこのグラフをチェックすると、Radeon RX 5500XTやGeForce GTX 1650 SUPERのほうが分かりやすく低い数値が出ています。
違うゲームの例を少し出してみます。前述したSiegeと同じく条件が違いますので大まかに見る必要があります。
Call of Dty: Modern Warfare
この中ではAMD Radeon RX 5500 XTやNVIDIA GeForce GTX 1650 SUPERは良い選択だと思いますが、本稿執筆時において販売されているものや場所は限られています。購入できるRadeon RX 6400やGeForce GTX 1660シリーズ、GTX 1650無印辺りを検討したほうがベストでしょう。
弊サイト過去記事が参考になると思いますので併せてチェックしてみてください。こちらの記事で取り上げたTechPowerUpのレビュー記事ではRadeon RX 580の結果もあります。
TechPowerUpのIntel Arc A380レビュー記事では、AMD Radeon RX 6400とNVIDIA GeForce GTX 1650との比較が見れます。
AMD Radeon RX 580からの乗り換え先結論
乗り換え先の結論としては、先にお伝えした現状2万円台前半のグラボで性能的にも消費電力的にも十分におつりがくる計算になります。そのレンジのグラボでRadeon RX 580より高いゲーム性能を得つつ低い消費電力運用をするか、もう少し上のレンジのグラボでより高いフレームレートを目指すか検討してみてはいかがでしょうか。
2万円台~3万円台前半グラボおすすめ
同じAMDのグラボで乗り換え先を考えるならば、3D描画能力の高さ重視でRadeon RX 6500 XTをおすすめ。PCの組み方的に柔軟な対応ができるグラボを求めるならば、補助電源なしでロープログラボの選択肢もあるRadeon RX 6400がおすすめです。
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