AMD Ryzen 7 5700レビュー。Socket AM4の格安8コア16スレッドCPU /TechSpot
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AMDが「2024年初めに公式リリースしたSocket AM4対応Ryzen」の中で、実は少し異色なモデルがRyzen 7 5700です。ざっくり概要とレビューをしたTechSpotはどのような感想を持ったのか、判断したのか、は本文をぜひチェックしてください。
AMD Ryzen 7 5700
本稿主役のRyzen 7 5700は、現役Ryzen 7000シリーズの一世代前となるSocket AM4プラットフォーム向けの「新」CPUです。
モデル名に含まれる " 数字 " が同じとなる既存モデルのRyzen 7 5700Xや、同時リリースとなったRyzen 7 5700X3Dとモデル名が近いので、クロックやキャッシュメモリ違いだけのCPUだろう、と思いがちですが実はコアから違っています。
AMDは、Ryzen 7 5700も発表。メーカー希望小売価格は175ドルで、8C16T構成のTDP 65W品。ベースクロックが3.7GHzとRyzen 7 5700Xの3.4GHzより300MHz高いのですが、「Vermeer」ではなくRyzen 5000Gシリーズと同じ「Cezanne」であり、PCIe Gen4はサポートされません。CezanneですがiGPUは未搭載。
Ryzen 7 5700XとRyzen 7 5700X3DはVermeer、Ryzen 7 5700はCezanneです。
- Ryzen 7 5700X(Vermeer):8C16T、ブーストクロック4.6 GHz、L3キャッシュ32MB
- Ryzen 7 5700X3D(Vermeer):8C16T、ブーストクロック4.1 GHz、L3キャッシュ96MB
- Ryzen 7 5700(Cezanne):8C16T、ブーストクロック4.6 GHz、L3キャッシュ16MB
その点についてtechspotのレビュー記事では冒頭から以下のようにまくし立てています。
Ryzen 7 5700をテストしていて、我々は詐欺まがい、あるいはせいぜい反消費者的な製品に出くわした気がする。しかし、もしかしたら過剰反応かもしれない。
特にRyzen 7 5700Xは、Socket AM4ユーザーにとって現在入手可能なCPUの中で最もお買い得なCPUの1つ(比較的パワフルな8C16Tのプロセッサーとしては驚くべき価格だ)だからだ。従って私たちの最初の想定では、Ryzen 7 5700はRyzen 7 5700Xから少し小型化されたバージョン(約100~200MHzが削減される程度)であり、価格は150ドル以下になるだろうと思っていた。
Socket AM4プラットフォーム向けCPUまとめ
Ryzenシリーズのモデル名とスペックにまつわる変遷を振り返るべくTechSoptでは、1,000AUドルを投じてSocket AM4プラットフォーム向けのCPUをすべて購入して改めてチェックしたそうです(すごい)。そして初代Ryzen 1000シリーズから過去を振り返ったテキストを起こしていますので、少し長いですが紹介してみます。
Ryzen 1000 / 2000シリーズ
AMD Ryzen 1000シリーズ(Zen)に関しては「複数モデルのXモデルと非Xモデルがあり、違いはクロック速度だけでアンロックされていた」というシリーズでした。Ryzen 5 1600XとRyzen 5 1600、Ryzen 7 1700XとRyzen 7 1700などは構造自体は同じでした。AMD Ryzen 2000シリーズ(Zen+)も同路線。
Ryzen 3000シリーズ
AMD Ryzen 3000シリーズ(Zen2)から構造違いのモデルがリリースされるようになりました。特徴的なモデルはRyzen 5 3500Xと非XバージョンであるRyzen 5 3500で、" ワールドワイドのOEM向け " と " 中国市場向けにリテールパッケージを販売 " する最近でもおなじみのパターンの他、日本国内ではRyzen 5 3500がリテール販売されるなどイレギュラーな展開がみられるように。
「Ryzen 5 3500」は、TSMCの7nmプロセスで製造される第3世代Ryzen(コードネーム:Matisse)のミドルクラスモデル。前世代では4コア/8スレッドだったスレッド構成を6コア/6スレッドに変更し、物理コアを増量しているのが特徴だ。定格クロックは3.6GHz、最大ブーストクロックは4.1GHzと標準的だが、一方で16MBのL3キャッシュを備えるといったアピールポイントがある。
Ryzen 5 3500Xが32MBのL3キャッシュを搭載していたのに対し、非XバージョンのRyzen 5 3500は同じコア構成と同じクロックスピードを維持したまま、L3バッファを半分の16MBに削減するなど差別化が図られています。
AMD 锐龙 5 3500X 处理器 (China Only)
また、Ryzen 3 3400GE以下の下位モデルはZen+コアを再利用しています。
Ryzen 5000シリーズ
本稿の主たるRyzen 7 5700が属するRyzen 5000シリーズの場合、末尾X3Dモデルに加えてiGPU搭載の末尾Gシリーズが大々的に追加された点が大きなポイントになるでしょうか。X3Dモデルは通常のRyzen 5000シリーズと構成を同じくするモデルですが、Gシリーズ(と下位モデル)は少し異なります。
Vermeerコア例
- Ryzen 9 5950X
- Ryzen 9 5900X
- Ryzen 7 5800X3D
- Ryzen 7 5800X
- Ryzen 7 5700X3D
- Ryzen 7 5700X
- Ryzen 5 5600X3D
- Ryzen 5 5600X
- Ryzen 5 5600
Cezanneコア例
Ryzen 7 5700の場合
繰り返しとなりますが本稿メインの「Ryzen 7 5700」の場合、末尾記号違いでRyzen 7 5700X3D、Ryzen 7 5700X、Ryzen 7 5700Gが存在しており、今回、末尾記号がない無印のRyzen 7 5700が加わることになります。
Ryzen 5 5600の場合
同じような例として「Ryzen 5 5600」の場合も末尾違いでRyzen 5 5600X3D、Ryzen 5 5600X、Ryzen 5 5600Gがあり、無印のRyzen 5 5600が存在します。
「Ryzen 5 5600」シリーズの場合、Ryzen 5 5600GのみCezanneコアですが、「Ryzen 7 5700」の場合、Ryzen 7 5700GとRyzen 7 5700がCezanneコアとなり、異なっています。
Ryzen 7 5700は、Ryzen 7 5700Xを若干縮小したものではなく、実際にはRyzen 7 5700GであるがiGPUは無効化されている。これはRyzen 7 5700Xの32MBのL3キャッシュが16MBに削減されたことを意味し、パフォーマンスに影響を与える大幅な削減となる。また、PCI Express 4.0をサポートしていないため、PCIe帯域幅は3.0仕様に制限され大幅なダウングレードとなっている。
iGPUを搭載しないRyzen 7 5700Gをリリースすることはまったく問題ないが、(モデルネームは)Ryzen 7 5700F、あるいはRyzen 7 5700GFとすべきだろう。いずれにせよ、誤解を招くため単にRyzen 7 5700と呼ぶべきではないのは確かだ。
Ryzen 7 5700のネーミングは、先にリリースされていたRyzen 5 5600X3DとRyzen 5 5600X、Ryzen 5 5600、Ryzen 5 5600Gの関係性を想起させるため消費者を混乱させるものだ、というのがTechSpotの意見です。
ゲームベンチ
AMD Ryzen 7 5700と同じCezanneコアのRyzen 5000Gシリーズに加えて、RNDA 3コアを搭載したRyzen 8000Gシリーズもピックアップ。グラボには一律NVIDIA GeForce RTX 4090を使い数値を出しています。
Cyberpunk 2077
RED Engineをゲームエンジンとする定番のCyberpunk 2077の結果は、CPUコアを同じくするRyzen 7 5700Gとほぼ同じ結果となっていますが、VermeerコアのRyzen 5 5600より少し下に位置する点に注目すべきです。
Assassin's Creed Mirage
ゲームエンジンにAnvilNext 2.0を使っているAssassin's Creed Mirageでも、Cyberpunk 2077とほぼ同じ傾向が見えてきます。
Spider-Man Remastered
ゲームエンジンにInsomniac Engineを使っているSpider-Man Remasteredの結果も、Cyberpunk 2077やAssassin's Creed Mirageと同じ傾向です。
Hogwarts Legacy
ゲームエンジンとして定番のひとつになっているUnreal Engine 4を採用しているHogwarts Legacyでは、RT有効で数値を出しています。
Assetto Corsa Competizione
Hogwarts Legacyと同じUnreal Engine 4を採用しているAssetto Corsa Competizioneの結果は以下の通りで、RT有効のHogwarts Legacyと同じような傾向となっています。
12ゲーム平均
上記5タイトルの数値だけを見てもAMD Ryzen 7 5700とRyzen 7 5700Gはほぼ同じCPU性能というところがわかります。
この時点で、Ryzen 7 5700がディスクリートGPUと組み合わされた場合、実質的にRyzen 7 5700Gと同等であることを理解するために、さらに何十ものタイトルを調べる必要はない。
12ゲームの平均データでは、平均してRyzen 7 5700XはRyzen 7 5700より16%速く、1%の最低値を比較すると19%速い。特定のケースではこの差は40%にも達することがあります。
まとめ
AMD Ryzen 7 5700のCPU性能は、同じCezanneコアのRyzen 7 5700Gと似通っています。ただiGPUが無いVer.というだけです。それ以上でもそれ以下でもない。TechSpotの記事で「ネーミングルールが悪い、もっと適切なモデルネームがあるはず」という指摘は大きく頷く部分があります。
我々の主な問題は、名前から期待されるものが得られないということだ。私たちは業界の何人かの人たち、つまりこれらの製品についてかなり詳しい人たちと話をしましたが、彼らは皆、Ryzen 7 5700はRyzen 7 5700Xの少し小型化されたバージョンだろうと考えていました。
(中略)
AMDがこの製品に、例えばRyzen 7 5700GFのような適切な名前を付けていたら、適切な価格で、まともな製品になっていたと思う。しかし、現状では(私たちの好みからすると)避けることをお勧めする。いずれにせよ、Ryzen 5 5600はより優れたゲーミングCPUであり、価格も安い。以前から知られているように、ゲームにはコアよりもキャッシュが重要だ。