今回のテーマは「ゲーミングPC」について。わかりやすいネーミングでもあり、PCを一度でも使ったことがあるなら普通のPCとゲーミングPCの違いって?という謎があります。そんなゲーミングPCの謎と選び方を書いてみようと思います。
1回目の記事と2回目の記事の続きものなので先にご一読いただけますと幸いですが、2020年に上梓した内容なので情報が古い点はご了承ください。
1回目2回目記事まとめ
1回目の記事ではおおまかに以下の内容を述べました。
2回目の記事では実際のBTO PCを見ながら良いところや、なぜこうなのか?といった疑問の答え(の一端)を出しました。
改めて記述しておきますが、1回目と2回目は2020年の記事なので情報が古い点にご注意ください。
ゲーミングPCとは
ゲーミングPCと聞いて何を思い浮かべますか?
光るPCや水冷システムのぶっといホースがうねっている内部構造など漠然とこういうもの、という共通認識はあるかと思います。
わかりやすくて良いと筆者個人は思いますが「ゲーミング何とか」という名称の様々なグッズも売られ、本稿執筆時はある程度落ち着きましたが光ればいいだろ的なものも未だにたくさんあります。七色に光るグッズ等を「ゲーミング〇〇」と揶揄(?)するミームもあったりします。
しかし別に光らなくても水冷じゃなくてもゲームはできるというところは強調しておきたいところ(*1)。ゲーミングと名を付けていない周辺機器やPCパーツでも光りがちなので勝手に光ったりしますけれど。
*1:ハイエンドCPUを利用する場合は簡易水冷が最低でも推奨されるでしょうか
ゲーミングPCが本来成すべきことは「ゲームを長時間安定的に動かせる」ことです。
- ゲームを快適に動かせるグラボやCPU
- 高負荷状態でもPCの安定動作を目指せる冷却システムやPC用電源
この2つが最も重要だと筆者は考えます。
筆者の自作PCもゲームをある程度快適にプレイできることを目的の一つにして組んだので「ゲーミングPC」と言えますが、特別光ったりしませんし水冷システムでもありません。組み合わせるPCパーツ構成を鑑みて水冷ではなく空冷システムにしましたが、主に以上の2点を重視した環境構築をしました。
PCでゲームをするのがステイタス
PS4/PS5やNintendo Switchといったゲーム専用コンソールではなくPCでゲームをプレイすることがステータスになっている側面があります。そういう意味では光るPCや水冷PCはわかりやすいアイコン、わかりやすいヒエラルキーを形作っていると考えます。ブランディングが上手。
最近は「eスポーツ」という名称のもと対戦型ゲームが流行っています。競技性の高い内容だけではなくともYouTubeやTwitchのゲーム配信が人気です。
これら対戦型ゲームの中ではゲーム専用機でもプレイできるものが大多数ですが、「eスポーツのトッププレイヤー(*2)」や人気の「ゲーム配信者(*3)」はPCでゲームをプレイ、または配信でPCを利用している人が圧倒的に多いのが実情です。
*2:ゲーム専用機やスマートフォンでだけ存在するゲームのプロeスポーツプレイヤーも存在する
*3:ゲーム専用機やスマートフォンにしか存在しないゲームの配信も人気がありますが、本格的な配信のためPCを使っている方も多い
プロゲーマーやゲーム実況・配信者たちの人気は非常に高く、ゲーム専用機やスマートフォンしかもっていない若年層にとって、憧れのプロゲーマーや実況・配信者と同じ環境でゲームをプレイすることはある種のステイタスになっている場合があります。バスケットボールのように人気選手のレプリカモデル(古のマイケルジョーダンモデル等)が爆発的に売れたりする現象と同じような特性があるわけです。
様々な要素が重なり憧れの的でもあるゲーミングPCですが、PCについて知らないと理解できない部分が多いのは事実です。
10万円以下で買える格安PCや中古PC等もありますが、ゲームをプレイするPC本体はもう少し予算が要ります。モニタなど周辺機器を含めると初期投資は20万円~40万円必要で、若年層が憧れだけで乗り越えられる金額ではありません。
ツイッター(X)等でゲーミングPCプレゼントといったポストに人気が集まりがちなのは言わずもがな(*4)。
*4:怪しいのもあるので注意
初期導入時はこういった一式セットもおすすめです。
ゲーミングPCの誤解
ゲーミングPCと名の付くものであればどんなゲームでも、自分が望む通りの快適なゲーム動作をしてくれる、もっと言うとPS4/PS5より高画質・高リフレッシュレートでぬるぬる動くようなイメージを持ってしまいがち。
ノートPC搭載のiGPU(別に搭載されたグラフィックチップではなくCPUに内蔵されたグラフィックチップ)によっては軽いゲームもゲーム内設定次第でプレイできることもありますが、広く認知されていない場合も。
先に筆者自身のPC環境を述べました。特にゲーミングPCと銘打っているものではありませんがゲームプレイに支障をきたさないPCを使っています(そもそも自作PCなのでゲーミングなBTO PC範疇には入りませんが……)。
日本国内ではPS4/PS5やNintendo Switchのようなコンソールゲーム専用機のシェアが非常に高いため、それらと同列で捉えてしまうのも無理はありません。
「ゲーミングPCはPS4/PS5のPC版」と言い換えてみたらわかりやすいでしょうか。特にPCに詳しくない方々にとってはそういったイメージを持っても致し方ないと思われます。
PCゲームをプレイしてみよう
PCに詳しい、知識があるといっても実践がないと意外とわからなかったりします。
例えば、グラボを搭載している自作PCを持っている方でもゲームをプレイせずクリエイティブな用途に利用している方々も多いでしょう。自己満足のためにハイエンドグラボを搭載している方々もいらっしゃるかもしれません。自己満足は自作PCをするにあたり重要な事柄で、著者自身大事にしている視点ですが、利用するジャンルが違えば捉え方も違うのは事実。著者自身、ガチな水冷には疎いと自覚はあります。
自分が遊びたいゲームは動くのか?という観点もありますが、最近重要視されているのは「フレームレートはどのくらいでるのか?」といった動くレベルの観点です。そもそもゲームをプレイしていないと動くレベルが感覚的にわからない場合もあるでしょう。
実際のゲームプレイはベンチマーク結果の通りにはいきません。環境に依るところも大きく、ゲーム内設定によってゲーム内エフェクトが激しい場面ではフレームレートが下がります。
MMORPGのFF14で例をあげるなら、ゴールデンタイム時、リムサのエーテライト付近でエフェクトが激しいスキルを使いまくってフレームレートをチェックしてみましょう。例えが古いでしょうか……?
ゲーム性の違い
ゲームといってもジャンルが違えば捉え方も違います。例えばオフラインのスタンドアロンゲーム、MMORPG、前述した対戦型ゲームでは何を重要視したほうがいいのか変わってきます。
ゲーミングPCに限らず、ゲーミングデバイスと呼ばれる周辺機器もどんなゲームジャンル向きなのか知識や実践がないと判断できない場合もあるでしょう。実際にプレイしていないとわからないことが多かったりするわけです。
ゲーミングPCの例
実際に売っているゲーミングPCをみてみましょう。ドスパラのゲーミングPCブランド「GALLERIA(ガレリア)」です。
公式ページ
GALLERIA ZA5R-R46T
GALLERIA ZA5R-R46TはZシリーズのAMD Ryzen 7 7000シリーズ採用のゲーミングPCです。
GALLERIA XA7R-R47(XA7R-R47)12503|パソコン通販のドスパラ【公式】|ゲーミングPC
GALLERIA(ガレリア)はわかりやすく4つのグレード分けのラインナップを行っており、ZA5R-R46Tはハイグレード「Zシリーズ」に分類されています。
Z-Series
まったくストレスを感じることなく、ゲームに没頭できる圧巻のレスポンス。GALLERIAのハイグレードシリーズ。
標準でAMD Ryzen 5 7600XとNVIDIA GeForce RTX 4060 Ti 8GB、32GB DDR5、1TB Gen4 SSD、650W 電源(80PLUS BRONZE)となっています。
GALLERIA ZA5R-R46Tは、スタンダートな組み合わせで質実剛健なPCを目指しているように見えます。
コラボモデル
最近人気なのは人気のeスポーツチームや配信者、vTuberのコラボモデルです。vTuberはもちろんですが、プロゲーマーや配信者もタレント化している証左です。
先に紹介したベーシックなゲーミングPC(例:ZA5R-R46T)に様々な特典、ロゴカスタマイズ、LEDカスタマイズ等を施したものが多数です。そのようなコラボモデルの例をGALLERIAシリーズからピックアップしてみます。
Crazy Raccoonコラボモデル
Crazy Raccoonのコンセプトである『ゲーマーをかっこよく魅せる』をテーマに全体デザイン及び内部設計まで全てにこだわり抜いたコラボモデル
FENNELコラボモデル
「eスポーツに熱狂を。」をミッションに掲げ、大会運営事業なども展開している『FENNEL』とのコラボモデル
SHAKAコラボモデル
ぶいすぽっ!コラボモデル
ゲーム推奨PC
ゲーミングPCという名称が出てくる前まで定番だったカテゴリが「ゲーム推奨PC」です。ゲーム推奨とは、推奨するスペックをクリアし、BTO PCメーカーがゲーム自体の動作検証をしているPCのことを指しています。
ゲーム推奨モデルはドスパラがPCゲームを実際に動作検証し、快適に遊べることを保証したモデルです。ゲーム推奨モデルには限定アイテムなどの購入特典が付属する商品があるのでより一層ゲームを楽しめるゲーミングPCです。もちろんゲームが動くまでサポートします!
「ゲーミングPC」というと結構漠然した言葉かもしれませんが、ゲーム推奨PCの場合、具体的なゲーム名からPCを選べるので実践的な方法であるとも感じます。
自作PCを既に組んでいる、また、スペックに詳しくゲームプレイをする方にとって推奨ラインを見るのは容易いかもしれませんが、「FF14をPCでプレイしたいけれどスペックは全然わからない」という方々もいらっしゃいます。そのような方々に「ゲーム推奨PC」はわかりやすい選択肢となります。
ゲーム推奨PCの例
ファイナルファンタジーXIV 推奨パソコン
ファイナルファンタジーXIV Windows®版のプレイにおいて、スクウェア・エニックス独自の検証基準を満たし、動作確認を受けた、特にお勧めのパソコンです。
ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON 推奨ゲーミングPC
モンスターハンターライズ:サンブレイク 推奨パソコン GALLERIAシリーズ
BLUE PROTOCOL推奨ゲーミングCPのGALLERIAシリーズは、BLUE PROTOCOLの検証基準を満たし、動作確認を受けた、特にお勧めのパソコンです。
例にあげたゲーム推奨PCのスペックを見ていただけるとわかりやすいのですが、特に変わっているPC、特別な構成をとっているわけではありません。
雑に説明すると「対象とするゲームの推奨ラインを超えるスペックのパーツを組み合わせたPC」であるだけですが、(繰り返しとなりますが)PCに詳しくないゲーマーにとってはわかりやすい選択肢であることは間違いありません。
ゲーミングPCはおすすめ?
おすすめと断言します。ゲーミングPCの最大の目的は「PCでゲームをプレイすること」であり、PCのスペックや構成選択に迷うことは目的を叶うための障害になる可能性を秘めています。
迷うならどこのBTOメーカーのゲーミングPCを選ぼうか?というところではないでしょうか。そういう意味では各社コラボモデルにチカラを入れており、より選びやすい環境ができていると感じます。
とはいえ「競技性の高いオンライン対戦ゲームで高フレームレートを出したい」という要望を叶えたい場合、PCスペック理解は必須と言わざるを得ません。わからない場合、ショップ店員に聞くのがベターな場合もあります。例えばValorantをフルHDで最高360MHz出したい、といった具体的なゲーム名と目標を伝えればガイドしてくれるでしょう。
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