PCI接続のアースソフト PT2をAMD Ryzen環境で再構築したので本稿を上梓いたします。記事公開時点においてPCIスロット搭載マザーボードはほぼほぼ絶滅しており、利用するにはPCIeから変換するライザーを導入するか、PCIスロットを実装する数少ないマザーボードの中古を探すか、もしくはIntelマザーの極一部を選ぶか……といった選択肢しかありません。
筆者のPT2用自作PCは、Socket AM3のM/B、ASUS M4A78T-EとCPUはAthlon II x4 605eという45W品のセットをWindows 7で動かし録画視聴していましたが、TV番組を視聴・録画することに飽きてしまっていた経緯もあり、Windows 7のサポート終了後から稼働をストップさせ動かしていませんでした。しかし今回、その中身をWindows 11対応のSocket AM4なRyzen環境へリプレイスしよう、となぜか思いたったため入れ替えをしてみた、というのが主旨となります。
PCIスロット搭載Socket AM4マザーボード
アースソフト PT2はPCIスロット用の拡張カードのためPCIスロットを用意しないといけません。しかし、「PCIスロット」自体がもう終わってしまった規格のため、近年リリースされるコンシューマ向けマザーボードに標準搭載されることはもうありません。PCIスロットが搭載された過去のマザーボードを中古で探すかPCIスロットを変換するアダプターを導入する必要があります。
PCIスロット変換ライザー(アダプター)例
最近のマザーボードにPCIスロットが搭載されている場合でも、そもそもPCIスロット自体が終わった規格のため、PCIスロット変換ライザー(アダプター)と同じようにブリッジチップ経由で接続されます。OSをWindowsにするならば対応CPUも考慮に入れなければいけませんが、モデルナンバーの数字が1xxxといったAMD Ryzen最初期モデル以外であれば現状Windows 11対応です。
ASUS PRIME B350-PLUS
今回は偶然にもPCIスロットを標準搭載するASUS PRIME B350-PLUSの中古を購入することができましたので、これを中心に構成を組み立てます。
上記の通りPCIスロットは既にサポートされていない規格なので、ASUS PRIME B350-PLUSには「ASMedia ASM1083」というブリッジチップが実装されています。PCIスロット拡張アダプタ搭載チップにおいてもASMediaのブリッジチップは間違いない傾向がありそうです。
細かい話ですが、ASUS PRIME B350-PLUSに実装されているコンデンサは手堅いものが使われている印象です。
リプレイス元の構成
サブPC入れ替え頑張りました。ケースは重いは正義という時代の定番Antec SOLO、中身はAMD Athlon x4 615e+ASUS M4A78T-EとG.SKILLのメモリ、Owltech CPUクーラー(標準で山洋ファン搭載)
— 帯域幅256ビット|AMD好きの自作PC速報 (@am_rm0) 2025年1月25日
この時代の青いヒートシンクすこ。CPUクーラーはたしか山洋ファン単体と同じくらいの値段だった記憶があります https://t.co/3mtjIXJ0xr pic.twitter.com/7nCEkdNrV6
※上記ポストのCPUは記載間違い
元々PT2を運用していた予約録画用PCの環境は以下の通りです。
CPU
Geekbenchでは以下のような数値になっています。Geekbenchの同ページでは「Geekbench 6 scores are calibrated against a baseline score of 2500 (which is the score of an Intel Core i7-12700). Higher scores are better, with double the score indicating double the performance.」とあり、現代的なCPUとはかけ離れた性能です。
Image via Geekbench Browser
AMD Athlon II X4 605eはK10コア世代というだいぶ前のものであり、リリース時においてもCPU性能を売りにしていたわけではない「ローレンジの低消費電力クアッドコア」なのでのでこんなものでしょうか。
AMD初のTDP 45W版クアッドコアCPUと,Phenom II世代初のTDP 45W版デュアルコアCPU。いずれも日本限定モデルとして自作PC市場へ投入される新製品を,Jo_Kubota氏が評価する。
「Athlon II X4 605e」「Athlon II X2 240e」レビュー。TDP 45W版クアッド&デュアルコアCPUをチェックする
マザーボード
ASUS M4A78T-E(海外サイトレビュー:PCSTATS)
DDR3世代のAMD Socket AM3向けマザーボードです。若干平準化の波がありつつもこの世代あたりまでマザーボード毎に性能差があった記憶があります。最近は同レンジのものであれば性能差はほぼ無く面白味に欠けるイメージですので、海外サイトのレビューを見ていて面白かった最後の時期のマザーボードとも言えます。古(いにしえ)のIDEポートに味を感じる方がいらっしゃったら仲間です。
その他
メモリ:G.SkillのDDR3 2GBx2(型式忘れ)
HDD:いろいろ
OD:たしかPioneerのバルクBD-RW
CPUクーラー:Owltech 無双4
Owltech 無双4は、「CPUクーラーとして」というより搭載されている山洋ファン目的という邪な思いで買ったのですが、対応TDP 150WというCPUクーラーとしてのスペックは今でも使いまわしできそう。
搭載されている山洋ファンのスペックは以下の通り。
- 800~1850rpm
- 14~28dBA
- 最大風量58.61CFM
- 2ボールベアリング
- サイズ:125(W)×106(D)×153(H)mm
- 重量:約700g
- 対応CPU TDP:150W
SanAceファンのメーカーを「やまよう」と呼ぶ方がいらっしゃったら仲間です。
昨年8月に発売された「無双ver.III」のマイナーチェンジ版という位置付け。搭載ファンは、山洋電気製120×120×25mm PWMモデルに変更されている。
PCケース:Antec SOLO
一世を風靡したド定番PCケースなので他に言うことはありませんが、HDDケージの設置方法に"ゴムでつるす方式"も選べるところは未だにユニークです。
美しくシンプル、そしてコンパクト
電源:Corsair TX750 V2 750 W
今のCorsair電源にしては珍しくなってしまったSeasonic OEM品とのことで購入し使っていた電源です。デフォルト搭載ファンは"元気いっぱいに回る"タイプです。
Recently they updated the TX PSU series that counted almost 3 years of life and presented the TX V2 one. With this change they dumped CWT and returned again to their favorite OEM, Seasonic.
オーディオI/F:TerraTec Phase 22
VIA Envy24HT-S搭載のオーディオインターフェースです。
再利用パーツ
既存の構成から、PCケースのAntec SOLOは再利用を決めています。すでに固定しているSSD(Crucial SSD 500GB MX500)とHDD x4、OD(BD-RW)を外すのがめんどくさいので再利用決定。同じような理由で電源のCorsair TX750 V2 750 Wも再利用したいのですが、腑分けして清掃しつつ静かなファンに交換。
TerraTec Phase 22はWindows 11で動きそうですが、他のオーディオI/Fにしたい気持ち。
再利用パーツリサイクルリスト
CPU
メモリー
CFD扱いのCrucial(Micron)DDR4-3200 16GBx2(W4U3200CM-16G)
グラボ
CPUはiGPUが搭載されていないRyzen 7 2700を予定しているので、予備に以前購入していた1スロットグラボ(MSI GeForce GT 710)。マザーボードのレイアウト的にPCIe X16スロットがPCIスロットのすぐ上にあるので1スロットのグラボが絶対条件です。
CPUクーラー
AMD Phenom II X6用に購入し利用していたCPUクーラーのScythe グランド鎌クロスが眠っているので再利用したいと常々考えていました。今見ても大きくてユニークなヒートシンクと14cmファンの組み合わせが美しいCPUクーラーです。現代的なCPU用のクーラーとしてもいけるでしょう。
このPRIME B350-PLUSで使うCPUクーラーは寝かせまくったScythe グランド鎌クロス。汚いのはご勘弁ください
— 帯域幅256ビット|AMD好きの自作PC速報 (@am_rm0) 2025年1月18日
このM/Bは日本国内未発売のSocket AM2 M4A785G HTPCです。バックパネルのオーディオoutにRCA端子がある、というめずらしいものでした https://t.co/0wXsduQGQU pic.twitter.com/6Dp4DsGu2g
PC Watchのレビューは、グランド鎌クロスの後継モデル「グランド鎌クロス2 SCKC-3000」のものです。
ヒートパイプが交差する独自レイアウトのトップフローCPUクーラー
オーディオI/F
PCI接続のオーディオI/Fを複数持っているので、PT2搭載PC用にはESI/EgoSys/AudioTrak MAYA44 Mk.IIを。Windows 11でドライバが動くといいのですが……。
4-in / 4-out PCI Audio Interface
Image via ESI
仮組みから組み込み、完成
自作PC定番の仮組み状態で動作チェックとOSインストール(をしようとする前)の画像。こういったバラック状態で電源ONをする場合、マザーボード上の電源ONピンをプラスドライバー等でショートさせて起動させます。
ショートさせる部分を間違えるとマザーボードを壊す場合もあるので、マザーボード上のシルク印刷や取扱説明書をチェックのうえ行いましょう。Albatron KI51PV-754というお気に入りのM/Bを2枚も逝かせたことがあり、未だにその場面を覚えています……。
Image via ASCII Mini-ITXフォームファクタ初のSocket 754対応マザーボードAlbatron「KI51PV-754」の販売が今日からスタート!!
無事Windows 11がインストールされ、オーディオI/FのMAYA 44 Mk.IIのドライバ・コントロールパネルも認識したのでこのまま進めます。ドライバは公式サイトでWindows 7までのものとする「MAYA44_MKII-x2v-v1_08」です。
https://download.esi-audio.com/?w=at&p=12&g=1&l=en
最終目的であるPT2も無事動いているので、電源を腑分けして清掃とファンを交換(SCYTHE KAZE FLEX 140 SQUARE PWM 1200rpm KF1425FD12S-P)した後、Antec SOLOに組み込み無事完成。
そもそも以前の構成時点から電源ファンが一番煩かったため、それを交換したことが一番の静音化対策となりましたが、元々静音PC向けの対策が施されているAntec SOLOの実力もあり満足度高め。
PT2運用新PC完成
とはいえ、TV番組を見てもやっぱり面白みに欠ける(普段からTV見ない習慣が災い?しているのかも)し録画してまで見たいものがない、というソフト面において自身の興味関心がかなり薄いことが一番の問題だったりして、あまり起動する機会がないのが残念な状況です。
またアニメをこまめに録画しようかなくらいでしょうか……。