AMDは、Ryzen 8000GシリーズのBIOS/UEFIアップデートをサポートし、Skin Temperature-Aware Power Management(STAPM)機能に起因する重大なパフォーマンス・スロットリング問題に対処する方向である、と報告されています。
Skin Temperature-Aware Power Management(STAPM)機能
Skin Temperature-Aware Power Management(STAPM)は、CPUとデバイス全体の環境の両方を参考にしてCPUのクロックと温度を調整する「ノートPC向け」の機能であり、ノートPC向けCPUを流用するデスクトップPC向けのRyzen 8700GとRyzen 8600Gにおいて性能低下を引き起こしていました。
Skin Temperature-Aware Power Management(STAPM)とはAMDが2014年に発表した仕組みで、ノートPC向けCPUの主要機能です。CPU内部温度を調整する「on-die power management」を拡張した機能で、ノートPCの表面温度をCPUの熱管理に反映させるものです。主な目的はノートPCがユーザーにとって不快なほど暖かくなるのを防ぎ、CPUが積極的に発熱を抑制できるようにすることです。
AMD Ryzen 8000Gシリーズは、ノートPC向けのRyzen 7040/8040(Phoenix/Hawk Pointアーキテクチャ)をベースにしています。おおざっぱに言うならば「デスクトップPC向けのTDP(※)で動かすノートPC向けCPU/APU」であり、そもそもSTAPM機能が搭載されているモデルです。
AMDはRyzen 8000GシリーズのSTAPMスロットリング問題を認識、修正する方向で動く - 帯域幅256ビット|AMD好きの自作PC速報
デスクトップPC向けCPUであるRyzen 8700GとRyzen 8600GにおいてSTAPMが不適切にアクティブ化されており、CPU速度が不必要に低下しシステム全体のパフォーマンスに影響を及ぼしていました。
AMDは、マザーボードメーカーとの協力のもと、対象となるCPUのSTAPM機能を調整することで、この問題を修正するパッチを開発したと述べられています。
このアップデートは現在、マザーボードのBIOS/UEFIアップデートを通じて入手可能であり、ユーザーは性能低下を修正するために最新バージョンをインストールすることが推奨されます。
AMD Ryzen 8000Gシリーズに限定された問題
性能スロットリングの問題はRyzen 8000Gシリーズに限定されており、他のAMD製CPUは影響を受けません。
Ryzen 8000Gシリーズは高性能な統合型グラフィックスで注目され、dGPU(専用グラボ)を採用しないコンパクトなゲームセットアップにも適しています。フォートナイトにおいてiGPUのみのフレームレートは「132」を達成したことで証明されるように、ベンチマークだけではないリアルなゲーミングパフォーマンスを実証しています。このBIOS/UEFIアップデートによって本来のパフォーマンスが発揮できるようになれば、現在の人気をさらに上回るプロップスが得られるかもしれません。