同サイト未更新時期のIntel CPU動向は別記事にまとめましたが、ミニPCにも採用される低消費電力CPU「Alder Lake-N」のことは触れませんでした。本稿ではIntel Processor N100をきっかけに、Alder Lake-Nの基本とマザーボード、ミニPCの紹介をしてみます。
Intel NUC撤退
同サイト更新停滞中に注目していたニュースのひとつは、Intel自体がNUCマーケットから撤退したことでした。
Intelの2023年第1四半期の決算では営業利益が前年同期比で36%減少し、28億ドルの損失を計上していた。4月にはサーバ事業を台湾のMitacに譲渡すると発表しており、事業の整理を進めている。
撤退はしましたが、サードパーティメーカーのNUC事業はサポートするとしています。ミニPCマーケットはそれなりに盛況だったので、リソースをサポートに回した格好になるでしょうか。
過去、Ghost Canyonの筐体はかっこいいという内容の記事も上梓していました。
Intel NUCのロゴ(骸骨)は「?」でしたが……(あくまで個人的な感想です)。
Alder Lake-N
同サイト未更新時期のIntel CPU動向(大雑把ですが)はこちらの記事にまとめましたが、ミニPCにも採用される低消費電力CPU「Alder Lake-N」のことは触れなかったため本稿にて触れてみようと思います。
Intel Processor Nシリーズ
Alder Lake-Nは2021年に発表・リリースされたJasper Lakeの後継モデルですが、当時の世界状況によりあまり搭載製品が出回ることはありませんでした。
そのため、その前の世代にあたるGemini Lakeが予定よりも長い期間使われ続けてきたように思う。
【Hothotレビュー】3万円台でこんなに高性能!Alder Lake-N搭載ミニPC「Beelink EQ12」 - PC Watch
そのような中、Alder Lake-Nは2023年1月に発表されました。同時にJasper Lake以前からも使われていたPentiumやCeleronというブランドネームは廃止となり「Intel Processor」という新しいブランドネームを採用しています。そのため、Alder Lake-Nの一連のモデルは「Intel Processor N」と命名されています。
モデル一覧
notebookcheck.netのデータベースによると、Alder Lake-NことIntel Processor Nシリーズは以下のモデル名が記載されています。
- Intel Core i3-N305 compare: 1.8 - 3.8 GHz 8 / 8 cores 6 MB L3
- Intel Core i3-N300 compare: - 3.8 GHz 8 / 8 cores 6 MB L3
- Intel Processor N200 compare: - 3.7 GHz 4 / 4 cores 6 MB L3
- Intel Processor N97 compare: - 3.6 GHz 4 / 4 cores 6 MB L3
- Intel Processor N95 compare: - 3.4 GHz 4 / 4 cores 6 MB L3
- Intel Processor N100: - 3.4 GHz 4 / 4 cores 6 MB L3
- Intel Processor N50: - 3.4 GHz 2 / 2 cores 6 MB L3
Intel Processor N100 CPU - Benchmarks and Specs - NotebookCheck.net Tech
Intelの「10nm SuperFin」プロセスをさらに改良した「インテル7」で製造されています。
Gracemontアーキテクチャ
Alder Lake-Nに採用されているCPUコアは、12世代と13世代のCoreに内蔵されているEコア(Gracemontアーキテクチャ)のみで構成されています。Intelは、Alder Lake-Nをかつてメインストリームで使われた「Skylake級の性能」を低消費電力で実現しているとしています。
Intelは第12世代CoreシリーズからPコアとEコアを組み合わせた構成をとり、PC・OSの稼働状況によってより高性能化と効率化を目指すCPUとしています。
Pコアは「Performanceコア」と呼ばれる高性能コアで、雑な説明ですが従来のCPUコアと同様のものです。
Eコアは「Efficientコア」と呼ばれる低消費電力コアで、PC・OSにとってそこまで性能を必要としない場合に稼働する高効率コアです。自作PCユーザーにも馴染み深いAtom系プロセッサの後継となります。
Gracemontは、Intelが省電力設計と位置づける「mont」(モント)系のCPUコア設計の流れを組む製品だ。従来こうしたmontがつくCPUコアは、Atom系のプロセッサに採用されてきた。
(中略)
Gracemontもそうした利用を前提に設計された高効率CPUコアのアーキテクチャになっており、別記事で紹介しているIntelの次世代クライアント・プロセッサとなる「Alder Lake」のハイブリッドCPUの中で、高効率CPUとして採用されるものとなっている。
筆者的には「Eコアのみ」という説明より、Atom後継のコア最新版という説明にしっくりきました。
Intel Processor N100
多く出回っているIntel Processor N100のTDPは6Wで、CPU自体はファンレス冷却でも運用可能なモデルとされています。
Alder Lake-NがSkylake級かどうか?に関しては、SkylakeアーキテクチャのCore m5-6Y57と比較したPC Watchの同記事のレビュー、ベンチがわかりやすいので参照してください。また、Jasper LakeとGemini Lakeとの比較レビューもありますので必見です。
Core m5-6Y57を搭載した「レッツノートRZ5」を用意して比較することとした。
【Hothotレビュー】3万円台でこんなに高性能!Alder Lake-N搭載ミニPC「Beelink EQ12」 - PC Watch
ASRock N100DC-ITX
Intel Processor N100を搭載した日本国内で入手しやすいマザーボードだと、ASRock N100DC-ITXが挙げられます。
スペック
- 1x DDR4 DIMM
- 1x PCIe 3.0 x4 (x2 モード), 1 M.2 Wi-Fi 向け Key E
- 2x SATA3, 1 M.2 (PCIe Gen3x2)
- 4x USB 3.2 Gen1 (前面に 2 個、背面に 2 個)
メモリスロットは1本ですが、本マザーボードが想定される用途的に十分でしょう。ストレージ周りはM.2が1個、SATA3ポートが2個。USBはUSB3.0(USB3.2 Gen1)が計4、USB2.0は計8。HDMI、Realtek ギガビット LANと必要十分なスペックといえるでしょう。
電源はマザーボードに実装されており、19Vパワーアダプター用のDCジャック(5.5*2.5mm)が背面パネルにあります。
パワーアダプターは下記製品のようなものが適切です。
Beelink EQ12
PC Watchでは、Intel Processor N100搭載のミニPC「Beelink EQ12」の紹介と、Alder Lake-Nの詳細、レビューがチェックできますのでご確認ください。
“もっさり感”が抜けたAlder Lake-N
というわけで注目のベンチマークから入ろうと思う。今回試用するBeelink EQ12の仕様は下記の通り。低価格な割にMicron製DDR5を採用したり、Intelのネットワークアダプタを採用していたりと、なかなかの安定志向である。
Intel Processor N100搭載の他ミニPC
GMKtec NucBox G3
GMKtec NucBox G3 DDR4 8GB+256GB M.2 2280 NVMe(PCIe3.0)SSD WIFI6/BT5.2 2.5G有線LANポート付き 2画面同時出力
TRIGKEY G4
TRIGKEY G4 Mini PC 16GB DDR4 500GB M.2 NVME SSD 4K@60Hz | 高速WiFi 6 | BT 5.2 | USB 3.2
TRIGKEY G5
TRIGKEY G5 Mini PC 8GB DDR5 500GB M.2 NVME SSD 4K@60Hz 小型PC ダブル LAN | 高速WiFi 6 | BT 5.2 | USB 3.2
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