PS5は高クロックGPUでXbox Series XのGPUリソース(52CU, シェーダー数3328)に対抗できる? /notebookcheck【AMD】
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PS5公式発表時の話題はPS5とXbox Series XのGPU性能比較でした。どちらともAMDのレイトレーシング対応次期GPUであるNavi2x(RDNA2アーキテクチャ)を搭載するのは前から分かっていましたが、それぞれ違う仕様となっています。
ざっくり言うとPS5はGPUクロック重視、Xbox Series XはGPUリソース重視です。
Sony’s claim that high clockspeeds offset its meagre shader allocation on the Playstation 5 doesn’t hold water when Navi overclocking results are factored in.
PS5とXbox Series XのGPU性能比較
ソニーとマイクロソフトが公式に発表しているGPUスペックは以下の通りです。
PS5のGPUスペック
AMDの現行GPU「Navi(RDNA)」でスペック換算するならば、PS5のGPUリソースはRadeon RX5700と同等ですが、最大クロックが大きく上がっています。さらに、次世代コアのNavi2x(RDNA2)は性能そのものがアップされるので、10.3 TFLOPsの理論性能値がある、というものです。
- CU:36
- シェーダー数:2,304
- クロック:最大2.23 GHz
- メモリ:GDDR6(448 GB / s)
- 理論性能値(FP32):10.30 TFLOPs
Xbox Series XのGPUスペック
AMDの現行GPU「Navi(RDNA)」でスペック換算するならば、Xbox Series XのGPUリソースはRadeon RX5700XTより上です。
RX5700XTは40CUでシェーダー数は2,560、メモリバスは448 GB / sで9.75 TFLOPs。リファレンスの最大クロックは1.905 GHzとなっています。
クロックは抑え目ですが、CU数とシェーダー数、メモリバス幅の数値があがる上に次世代コアNavi2x(RDNA2)の性能アップにより、12.00 TFLOPsの理論性能値がある、というものです。
- CU:52
- シェーダー数:3,328
- クロック:1.825 GHz
- メモリ:GDDR6(561 GB / s)
- 理論性能値(FP32):12.00 TFLOPs
高クロックGPUは高リソースGPUに勝てる?
AMDの現行Navi(RDNA)シリーズで「あえて似たような比較」をするならば、Radeon RX5700XTとRX5700、RX5600XTのベンチマーク比較でしょうか。
しかし、この3GPUは基本的にGPUリソースとクロックがモデルナンバー順になっているので、PS5とXbox Series XのGPU性能比較の模擬戦としてはダメ。
ただ「GPUリソースが高いほうが性能がでる」というのが一般的だと思います。
PS5公式発表の発言
さて,PS5のGPU性能だが,従来のRadeon系GPUと同様に演算コアである「Compute Unit」(CU)の個数である程度決まる。PS5のCU数は36基で,Xbox Series Xの52基に比べると70%程度になっている。
(中略)
「TFlopsの数値は,あくまで演算器のピーク性能にすぎない」
「高クロック動作であるということは,たとえばラスタライザ,コマンド発行部やキャッシュといったシェーダーコア以外のユニットも高クロックで動作する」
「ポリゴンが十分に細かく,そしてその数が多いとき,CU数が多過ぎると,そのすべてを並列に効率よく稼動させるのが難しい」
最後の部分は言い回しが少し分かりにくいが,おそらくポリゴンが十分に細かく,数が多いときは,少ないCU数で高クロック駆動のほうが処理をより並列に実行でき,GPUを効率よく稼働できるということを言いたいのだと思う。
西川善司の3DGE:Mark Cerny氏のPS5技術解説プレゼンテーションを読み解く(前編)。ここまで分かったPS5のSSDとGPUの詳細 - 4Gamer.net
ざっくりいうと、
ということを言ったのだと思われます。
また、notebookcheckの記事では、「未処理のハードウェアリソースよりも速度が重要であるということは、PS5とXbox Series Xが示すTFLOPsの差はもっと縮まることを意味する」と述べています。
スペック表の「表記」は?
まず、PS5は「最大2.23 GHz」という表現を使っている点、Xbox Series Xは「最大」という表現は使っていない点について。
PS5は最大2.23 GHz時で、しかも敢えて「最大2.23GHz まで可変」と表記しています。そのクロックが達成されている時点においての理論性能値が10.30 TFLOPsということ。
Xbox Series Xは最大や可変という表現は使われていません。1.825 GHz状態をスタティックに動作させることができるのでしょうか?
筆者はそう思いません。筐体の容量を見ると、そのクロックで常に動作させるならドライヤー並みの轟音になりそう……。また、現在のGPUは可変クロックは当たり前なので、可変することは確実。
PCパーツの場合であれば、最近の製品は熱暴走をさせないよう自動的に冷却システムを強化(ファンの高回転化など)したり、クロックをあえて落として発熱を抑える仕組みが一般的です。
それらを踏まえて、筐体(本体ケース)の容量と冷却システムの能力、そしてクロックの可変動作をどう制御するのか、というトータルの設計思想によって変化するというのが筆者の考えです。
PS5の筐体は未だわからないので何とも言えませんが、最大クロック動作の時間は短いのではないでしょうか。
Xbox Series Xの場合は、マイクロソフトが示している筐体容量や冷却システムとクロック可変動作がどう折り合いをつけているのかわかりませんが、ファンが結構うるさかったりしそうな気がします。
Navi(RDNA)コアのオーバークロック能力
notebookcheckの記事では、現Navi(RDNA)コアのオーバークロックによる性能差が少ない点を上げています。
RDNA parts do not scale well at higher clockspeeds. Overclocking tests on the RX 5700 XT-close analogue for the PS5’s GPU-indicate that a massive 18 percent overclock from stock up to 2.1 GHz resulted in just a 5-7 percent improvement to frame rates. This is the exact opposite of Sony’s claim, which implies better-than-linear performance scaling with clockspeeds.
(意訳:PS5のGPUに近いスペックのRX5700XTオーバークロックテストでは、定格から2.1 GHzまで18%オーバークロックした場合、フレームレートは5〜7%の改善だった。クロックが高いほど性能が良い、とするソニーの主張を覆すもの)
Navi2x(RDNA)コアはRX5700XTに採用されているNavi(RDNA)コアのアップデート版なので、同様の傾向を示す可能性が高い、とも述べています。
筆者感想
純粋なGPU性能差という意味では20~30%程Xbox Series Xが上なんだろうな、とは思いますが、実際の動作環境ではどうなるのでしょうか?
どちらかというと、PS5のストレージ仕様やXbox Series XのSTORAGE EXPANSIONが良い、とGPU以外のところが気になる感じです。