RX5600XTのインパクトで影が薄いRX5500XTですが……今さらながらRX5500XTの概要と GTX1650SUPERとGTX1660との比較ベンチマーク結果をまとめてみたいと思います。
Apex LegendsやPUBGの実ゲームfps比較もあります。
Navi(RDNAアーキテクチャ)の第一弾だったRX5700XTとRX5700は、以前のAMD GPUが持つ雰囲気(ゲームに弱い)をある程度払拭できるものでした。
以前より差を詰めることはできたとはいえ横に並ぶことができなかったPolaris世代から大きなジャンプアップを果たした、と言って過言ではないでしょう。
RX5700シリーズ直系ミドルレンジGPU
RX5500XTを一言で表すならば、RX5700シリーズ直系ミドルレンジGPUです。RX5700シリーズと同じNavi(RDNAアーキテクチャ)で性能と価格を抑えたモデル。
AMD曰く「1080pでAAAタイトルを60fpsオーバーで遊べるGPU」としています。
Radeon RX480と対比
AMD公式リリースでは、Polaris世代のRX480に対してアドバンテージを持っていることをアピールしています。NVIDIAの「8」番台モデルはハイエンドですが、AMDの場合はミドルハイ辺りなので2世代前のミドルハイより性能がでて、かつ消費電力が削減されている、としています。
超激戦区
ミドルレンジ(実売3万円以下)のグラボは費用対効果が最優先、また、性能と電力消費のバランスが最もシビアに判断される激戦区。その戦場で戦えるのか、がRX5500XTの勝負どころ。
ミドルレンジの王者はNVIDIA
GeForce GTX750Ti, GTX750などのGTX750シリーズの第一世代Maxwellと、GeForce GTX960などのGTX900シリーズの第二世代Maxwellから消費電力の大幅削減に舵を切ったNVIDIAは、AMDの対抗GPUをことごとく退けてきました。ピーク性能をあげたいがその電力の大きさとのバランスに苦悩してきたAMDを横目に、NVIDIAはMaxwell以降の余裕をもってピーク性能を上げてきたわけで、これが昨今のGPU界隈のスタンダード。
AMDの場合はそれ以前にドライバーが〇〇……失礼。それなり、とか、PCゲームやるならばNVIDIAという市場の力関係など苦戦する理由はたくさんあるのですが、上から下まで万遍なく、バランスが良い製品ラインナップを揃えているのはNVIDIAで間違いないでしょう。
前述の通り、ミドルレンジはバランスが大事だと思うわけなのですが、王者NVIDIAに期待の3万円以下Naviはどう立ち向かうのでしょうか。
RX5500XTのライバルとしてAMDが指名したのがGeForce GTX1650SUPERです。
対GeForce GTX1650SUPER
NVIDIA GeForce GTX1650SUPERは「1650」のモデルナンバーを冠していますが、コアは上位のGeForce GTX1660と同様です。
TU116のフルスペックからTPCを2基無効化
GDDR6をグラフィックスメモリとして高速化を実現従来のGTX 1650は,「TU117」コアを採用していたので,同じモデルナンバーを冠してはいるものの,GTX 1650 SUPERとGTX 1650とは,実のところまったくの別物と言ってよさそうだ。
ASUS製「TUF-GTX1650S」レビュー。SUPERの名を冠する新型エントリー向けGPU「GeForce GTX 1650 SUPER」の立ち位置は? - 4Gamer.net
RX5500XTはどう?
ベンチマークや実ゲームのfpsを測った結果をみてもまちまちです。理由の一つは、ゲームエンジンのNVIDIA GPU最適化が大きいでしょう。有名どころとしてはUnreal Engine 4で、それを使ったPUBGやFortniteは、NVIDIAのGPUの方がfpsが出やすいゲームです。
FF14ベンチ
国内サイトのレビューに多く出てくるベンチとしてFinal Fantasy XIVベンチマークがあります。こちらもNVIDIA有利ですが、4gamerのレビューではかなり迫っているので、過去のAMD GPUとは違うところを見せています。対GTX1650SUPERという観点では、ざっくり約9割程の性能を見せる場合もあれば、上位モデルのGTX1660を上回る場合も見せています。得手不得手が顕著、という4gamerの記事にも納得です。
得手不得手が顕著なRX 5500 XT
GTX 1660を上回る場面も多い
SAPPHIRE PULSE RADEON RX 5500 XT 4G グラフィックスボード 11295-03-20G VD7151
実ゲームfps
お馴染みのGPU Checkのベンチデータから、RX5500XT 4GBとGTX1650SUPERの結果を引用いたします。
解像度は1080pのみで、MediumクオリティとHighクオリティの2種類、Apex Legendsと、Battlefield V、PlayerUnknown's Battlegrounds(PUBG)、Overwatch、Rainbow Six Siege(R6S)の5種類です。
Apex Legends(Medium)
ピークで約15fps、アベレージでも同じく約15fps程の差があります。
Battlefield V(Medium)
BFVはRadeon有利のエンジンなので、上回る結果。
PlayerUnknown's Battlegrounds(Medium)
UE4のPUBGはRX5500XT不利。
Overwatch(Medium)
Overwatchのグラフは突き抜けていますが、数値を見ると約20~23fps程、GTX1650SUPERに差をつけられています。
Rainbow Six Siege(Medium)
R6SのグラフもOverwatch同様に突き抜けています。数値を見ると約30~35fps程、GTX1650SUPERに差をつけられています。
Apex Legends(High)
HighクオリティでもMediumクオリティ同様の差があります。
Battlefield V(High)
BFVでは面目躍如。
PlayerUnknown's Battlegrounds(High)
PUBGでは12~13fps程の差。
Overwatch(High)
OverwatchではMediumクオリティより差が少し縮まりました。
Rainbow Six Siege(High)
R6SではMediumクオリティと同じ規模の差です。
対GeForce GTX1650SUPERまとめ
ベンチマークソフトでは健闘していますが、実ゲームとなると差がでてしまっています。4gamerの結果と合わせて得手不得手があるのがわかります。また、ドライバの成熟度の違いも気になるところです。
ASUS NVIDIA GeForce GTX 1650 SUPER 搭載 デュアルファンモデル 4G TUF-GTX1650S-O4G-GAMING
対GeForce GTX1660
NVIDIA GeForce GTX1660は、同じTU116コアのGeForce GTX1650SUPER上位モデルです。
TU116フルスペック版からTPCを2基削減したのがGTX1650SUPER、TPCを1基分無効化したのがGTX1660です。GTX1660のCUDA Core数は1408基でGTX1650SUPERは1280基となる計算。
VRAM周りにも違いがあります。GTX1650SUPERはGDDR6を採用していますが、GTX1660はGDDR5です。メモリインターフェースはGTX1650SUPERの128bitより広い192bitですが、メモリの違いにより、お互いのメモリバス帯域幅は192GB/sです。
GPUの規模が違う点が大きいでしょう。
AMDは比較対象としてGTX1650SUPERを指名していますが、スペックの近いGTX1660との比較もせっかくなので見てみます。
RT5500XTは戦えている?
GTX1650SUPERは、GTX1660のざっくり9割程度という結果もありつつ、得手不得手がはっきりしているRX5500XTはたまにGTX1660を脅かす性能も見せます。
GTX 1650から4割弱の性能向上を実現
GTX 1660比では9割程度のパフォーマンスを発揮ASUS製「TUF-GTX1650S」レビュー。SUPERの名を冠する新型エントリー向けGPU「GeForce GTX 1650 SUPER」の立ち位置は? - 4Gamer.net
実ゲームfps
こちらもGPU Checkのベンチデータから、RX5500XT 4GBとGTX1660の結果を引用いたします。
解像度は1080pのみで、MediumクオリティとHighクオリティの2種類、Apex Legendsと、Battlefield V、PlayerUnknown's Battlegrounds(PUBG)、Overwatch、Rainbow Six Siege(R6S)の5種類です。
Apex Legends(Medium)
Battlefield V(Medium)
PlayerUnknown's Battlegrounds(Medium)
Overwatch(Medium)
Rainbow Six Siege(Medium)
Apex Legends(High)
Battlefield V(High)
PlayerUnknown's Battlegrounds(High)
Overwatch(High)
Rainbow Six Siege(High)
対GeForce GTX1650SUPERまとめ
GPU Checkのベンチ結果ではGTX1660がワンランク上の結果で圧勝です。ただし、Battlefield Vでは結構善戦していますけれども。
ZOTAC GAMING GeForce GTX 1660 6GB GDDR5 グラフィックスボード VD6918 ZTGTX1660-6GB
RTX5500XTは買い?
一部GTX1660並みの性能も発揮しますが、パフォーマンス的には正直微妙な線、と言わざるを得ません。
4gamerの消費電力ベンチを見るとライバルより高め、ASCIIベンチでも同傾向ながら、ワットパフォーマンスはGTX1660の94%(フルHD時)と善戦しています。
7nmプロセスによるワットパフォーマンス向上効果は極めて優秀
3万円以下のミドルレンジ期待のNaviですが、実売価格が2万円前半から3万円弱と対抗すべきNVIDIAグラボにアドバンテージを築けていません。ゲームプレイのみに絞ればクエスチョンマークがつくでしょう。
ASRock AMD Radeon RX5500XT 搭載 グラフィックボード GDDR6 4GB CHALLENGERシリーズ RX5500XT Challenger D 4G OC
RX5500XTはPCIe 4.0接続対応です。ほとんどのベンチレビューがPCIe 3.0環境(Intel CPU環境)なので、本来持っている性能は出し切っていないとも言えます。
帯域が広がるので多少のアドバンテージを得られると思いますが、PCIe 4.0対応が2020年Q1現在、第3世代RyzenとX570チップセットに限られることです。それら組み合わせを選ぶユーザーはRX5500XTより上のGPUを使ってみたい、と考える割合は非常に高いでしょう。
RX5500XTにとって最大の敵はNVIDIAのミッドレンジではなくPCIe 4.0環境なのかもしれません。
8GBモデル
RX5500XTには4GB搭載モデルと8GB搭載モデルがあります。ミドルレンジGPUを使ったフルHDゲームプレイでは8GBは必要ないですが、RX5500XTには8GBモデルが存在します。
どちらを選べばいいのか?については、AMDの回答を見て自分に合ったものを選んでみましょう。
「RX 5600のメモリインタフェースは192bit,RX 5500は128bitなので,メモリ帯域幅はRX 5600のほうが高くなる。フレームレートを重視するのであれば,5600のほうが性能は上である」という答えが返ってきた。つまり,ゲーム用途ではRX 5600シリーズのほうが高性能であるというわけだ。一方で,動画編集やグラフィックスデザインといったクリエイティブな用途では,グラフィックスメモリの容量が大きい8GB版のRX 5500を選択するのはありだろう。
西川善司の3DGE:Ryzen 4000とRadeon RX 5600 XTの気になるところをAMDにアレコレ聞いてみた - 4Gamer.net
クリエイティブワークには8GB搭載モデルのほうがたしかに適していますし、実際、RX5500ベースのワークステーション向け「Radeon Pro W5500」の情報もあります。
The Radeon Pro W5500 is yet to be announced and was spotted at a webshop in the USA. The card might have a feisty name, but really is likely to be based upon a Radeon 5500 XT.
MacBook Proの外付けGPUや高解像度の動画、静画編集には最適なグラボがRX5500XT 8GBモデルといえます。
ASRock AMD Radeon RX5500XT 搭載 グラフィックボード GDDR6 8GB CHALLENGERシリーズ RX5500XT Challenger D 8G OC